よい翻訳のためには原文理解と訳文の統一、ルール遵守が不可欠

  • URLをコピーしました!

2023年はたくさんの翻訳チェックをしました。翻訳文をたくさん読んでいると、素晴らしいと思う翻訳文、手抜きだと思う翻訳文もあります。そして、翻訳者の気持ちが伝わってくるときもあります。

先日、とあるクライアントさまの英文統合報告書を確認させていただく機会がありました。自分の英語力をまったく棚に上げて言いますが、訳文はかなり低品質でした。「ちぐはぐ感」「焦り」があちこちに感じられました。

しかし、この翻訳をチェックしたおかげで、翻訳の質を左右するポイントをつかむことができました。この記事では、特にすぐに取り組むことができる「日本語を理解する」「用語を統一する」「作成したルールを守る」を紹介します。わたしはこれらに気を付けることで、単価アップも果たせました。

そこで、これから翻訳トライアルを受けるかた、翻訳者のかた、翻訳チェッカーのかた、参考にしていただきたく、記事にすることにしました。

なお、この記事で取り上げている「翻訳」は産業翻訳といってビジネスに関する文書の翻訳です。創造的案文章が要求される文芸翻訳などではありませんので、ご注意ください。

目次

日本語を理解する

翻訳する際に一番重要になるのは、外国語の語学力だと思う方が多いのですが、実は、日本語の理解力も同等以上に大切です。日本語で書いてあることが分からなければ、英語に訳しても意味が分かりません。特に、英語ネイティブの方が翻訳した英文については、日本人がチェックする場合は、日本語がしっかりと理解できないと英文の正誤が判断できません。

とはいっても、わたしたちは日本人。わたしもそうですが、日本語で書いているだけで、なんだか分かった気持ちになってしまうことが往々にしてあります。字面だけでなく、論理的にどうなっているか、例えば、会社の上層部の発言であれば、なぜその方がそのような発言をしているのか、理解しましょう。

訳文の統一

ビジネス文書の翻訳(産業翻訳とも呼ばれます)では、訳文中の用語の統一は必須です。例えば、企業理念。コーポレートスローガン。これらは日本語では統一されています。英語になったとたんに、自由に翻訳してしまう例が後を絶ちません。言語は違っても、会社やトップのメッセージは一貫性を持たせるべきです。

日本語で統一されているなば、英語でも統一しましょう。日本語がいろいろな意味に取れる場合は、日本語を違う言葉に変えましょう。

ビジネス文書の原則は、日本語も英語も同じ。会社からのメッセージは一貫性を持たせましょう。

ルールの遵守

個人的なメールや文章では許されることでも、やはりビジネス文書ですと、統一が大切です。というのは、ルールが統一されていないと、読むのが辛くなってしまいます。一つ一つは細かいことなのですが、積もり積もってくると、頭が疲れてしまうからなのです。どんなに素晴らしい英文を書いていたとしても、英文全体の印象も下がってしまいます。

統一する例を挙げておきます。

キャピタライズのルール(タイトル、見出し、小見出しの最初だけ大文字で始めるのかなど)
””、「」の仕様のルール(コーポレートスローガン、企業理念など)
細部のルール(””.とするのか”.”とするのかなど)

ルールを作成するのが大変な場合は有名企業や、競合他社で、きちんとしたルールに則って作成された資料のルールを真似することをお勧めします。もしくは、信頼おけるコンサルタントや翻訳会社に相談するのもよいでしょう。

チェックリストを作るのもいいですね

まとめ

ルールに則って整然としたビジネス文書は読みやすいです。そして、日本語を元にした英訳の場合、整った英文資料を作成するためには、整った日本語が必要になります。英文を意識すると、原文の日本語も自然と分かりやすく、読みやすくなるという特典がついてきます。

今回このブログで取り上げた「日本語を理解する」「用語を統一する」「作成したルールを守る」一つ一つは当たり前のことかもしれません。でも、これらに気を付けることで、確実に翻訳力をアップすることもでき、翻訳会社やクライアントの信頼度も増します。実際にわたしはトライアルを突破することができましたし、単価アップ交渉のときも、これらの3つをポイントにして翻訳会社に相談し、30%アップを達成しました。

これから翻訳トライアルを受けるかた、翻訳者のかた、翻訳チェッカーのかた、そして、社内で翻訳をチェックする立場にあるかた、もしよかったらこちらを参考にしていただけたらと思います。

ちょっとしたコツで整った英文資料になりますよ!

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアお願いします!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次