全国通訳案内士(英語)に独学・1年で合格|予備校なし、育児中の勉強法と二次試験体験記

全国通訳案内士 独学・1年で合格|ワンオペ育児中の勉強法
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2019年度、全国通訳案内士(英語)の試験を受け、一次試験と二次試験を同年合格しました。予備校に通う時間も余裕もなかったため、独学でした。2025年には、法定の通訳案内研修を受け、登録を続けています。

この記事では、当時の勉強法と二次試験の様子、そして今振り返って思うことをまとめます。これから受験する方、忙しい中で何かに挑戦したい方の参考になればうれしいです。

※試験の形式や免除制度は年度によって変わります。最新情報は観光庁の公式サイトでご確認ください。

目次

2019年度と2026年度の試験制度の違い

今も、試験の大枠は、私が受けた2019年度とほぼ同じです。2018年度の制度改正で「通訳案内の実務」が加わった5科目の筆記と、口述試験という構成は変わっていません。日程は少し早くなり、免除の基準も年度ごとに更新されています。

項目2019年度(私が受験)2026年度
筆記試験の科目外国語・日本地理・日本歴史・一般常識・通訳案内の実務同じ5科目(マークシート方式)
筆記試験の時期8月8月16日
口述試験の時期12月上旬11月29日
口述試験の内容約10分。プレゼンテーション(3つのテーマから選択)、外国語訳と状況設定の質疑応答「通訳案内の実務」として、現場で必要な実践的な能力を判定
最終合格発表2020年2月7日2027年1月22日(予定)
英語の免除(私の場合)TOEIC S&Wのスコアで免除TOEIC L&R 900点以上、またはSpeaking 160点以上、Writing 170点以上(2025年4月以降の公開テスト)

2026年度は、出願が電子申請のみ、受験手数料は1カ国語14,850円です。日本地理は旅行業務取扱管理者、日本歴史は歴史能力検定1・2級などで免除できます。受験する年の施行要領で必ず確認してください。

出典:2026年度全国通訳案内士試験(JNTO)、2026年度施行要領、試験ガイドライン改正資料(観光庁)

なぜ受験したのか

受験した理由は、いくつかあります。一つ目は、会社に所属しなくても働ける土台を作りたかったからです。当時は30代。「定年70歳時代」といわれる中で、自分がいつまで今の仕事を続けられるかわからないと感じていました。

二つ目は、「語学という分野で、自分はどこまでできるのか」を試したかったからです。2016年に、一念発起して独学で日本語教育能力検定試験に合格。せっかくなら、これまで勉強してきた英語も活かした資格が取りたいと思いました。全国通訳案内士は語学系で唯一の国家資格。

三つ目は、小学生だった子どもたちに、親が勉強を頑張る姿を見せたい気持ちもありました。当時、子育てのために仕事はセーブしており、もやもやした思いを抱えながら毎日を過ごしている自分。そんな自分を打ち破るためにも何かに挑戦したくなったのです。

最終的に決め手になったのが、2018年にTOEIC Writingテストで180点を取得したことです。全国通訳案内士は、語学検定で一定の基準をクリアすると一次試験の語学科目が免除になります。TOEIC Writingテストの結果で一次試験の英語が免除になることが分かり、さらにTOEICの免除有効期間は1年と短いため、「今年しかない」と受験を決めました。

一次試験の勉強法

全国通訳案内士の一次試験は5科目(語学、日本地理・日本歴史・一般常識・通訳案内の実務)あります。私は英語は免除だったので、日本地理・日本歴史・一般常識・通訳案内の実務の4科目を受けました。過去問を初めて見たときは絶望し、何度も受験をやめようと思いました。そのたびに支えてくれたのが、ハロー通訳アカデミーの無料動画とメルマガ、そして先輩たちの合格体験記です。

全科目を通して助けられたのが、暗記カードアプリFlashcards Deluxeです。どの科目も5周以上取り組みました。やる気が出ない日も、タップするだけで進められるのがありがたかったです。

うれしい変化もありました。子どもたちが歴史に興味を持ち、私とマンガや参考書の取り合いになったのです(笑)。古墳やお城、伝統芸能の話で盛り上がるようになりました。

勉強内容と、自己採点の結果を表にまとめました。日本地理は勉強した結果が反映されましたが、日本歴史は苦戦しました。あと1問落とすと危ないところでしたが、何とかクリアできました。

科目やったこと自己採点
日本地理観光庁の周遊ルート資料を印刷して地図帳に書き込み。無料の地域別白地図に、観光地やお土産を片っ端から書き込んだ。日本遺産のサイトの動画も全部見た90点
日本歴史高校から理系だったため、日本史は中学生以来の勉強で、ほぼゼロからのスタート。マンガ「日本の歴史」15巻を2~3回通読し、年号ソングを歌いながら覚えた。中高生向けの無料授業動画も活用70点
一般常識観光白書を2年分印刷して統計をチェック。G20・ラグビーワールドカップ・東京オリンピックは公式サイトまで確認(出題された)41点
通訳案内の実務観光庁の研修テキストとハローの資料を交互に何度も読んだ。長文の選択肢はひっかけが多く、消去法が効いた38点
日本地理の勉強で、地域別の白地図に観光地や名所を色ペンで書き込んだノート
びっしりと書き込んだ白地図

二次試験:勉強法と当日の様子

一次試験の終了後、合格発表を待たずに二次試験の対策を始めることにしました。というのも、英語は一次試験が免除だった分、英語で話す力はまったく足りていないと感じたからです。

やったこと

やったこと内容
教材を絞る定番の『日本的事象英文説明300選』の暗記は早々にあきらめ、日本文化を英語で説明する本3冊に絞りました。通勤中に読み、音声も聞きました。
簡単な英語だけ使う定型の表現に絞って覚え、5文型のうち第1~3文型だけで話すようにしました。
英作文と音読日本文化のテーマで英作文を書き、添削サービスで直してもらいました。添削後の英文は、音読して覚えました。
朝25分のオンライン英会話いつもは朝食の支度をする6:00~6:25に、家族に了解をもらって別室にこもって受講しました。直前1か月はネイティブ講師のプランに切り替え。値段が2倍以上で迷いましたが、もう少し早く切り替えてもよかったと思います。

平日の1日は、こんなスケジュールでした。朝・通勤・昼休み・夜のすきま時間を合わせると、勉強時間は1日3時間以上は確保するようにしていました。

【1日の過ごし方の例】

時間内容
5:00起床
5:30~6:00勉強(30分)
6:00~6:30オンライン英会話(30分)
6:30~7:30身支度
7:30出発
7:45~9:00通勤、電車の中で勉強(50分)
9:00~12:00仕事
12:00~13:00昼休み、昼食後は勉強(45分)
13:00~17:00仕事
17:15~18:30通勤、電車の中で勉強(30分)
18:30~22:00お迎え夕食・風呂・子どもとの時間(宿題チェック・明日の準備・プリント整理など)
22:00~23:00勉強(60分)
23:00就寝

当日(2019年度の場合)

私の順番は、会場でいちばん最初でした。待合室には、海外駐在経験がありそうなスーツ姿の方ばかり。留学経験もない私は「もうガイドなんだ」と自分に暗示をかけました。普段は石橋を叩いても渡らない、心配性なのにです(笑)。

プレゼンテーションのテーマは、風鈴・消費税増・道の駅の3つ。以前英作文したことのある「風鈴」を選びました。子どもとペットボトルで風鈴を作った話をすると、外国人試験官が身を乗り出しました。「本当に作れるの?」「本当に鳴るの?」と質問が続き、リサイクル学習の話まで広がりました。

夏の風物詩「風鈴」Photo by Hiroshi Tsubono on Unsplash

通訳の問題では、最後の文のメモが読めず泣きそうに。「無言は採点されない。わからなくても関連することを言う」という動画のアドバイスを思い出し、何とか言い切りました。試験官お二人の「頑張れ!」という視線にも助けられました。

最後は「お客さまが日本の祭りに参加したい」という場面でした。一次対策で見た日本遺産の動画を思い出し、「金沢の近くに外国の方も参加できる祭りがあります」と紹介。試験官が「あの肩にかつぐ…」と言いよどむと、私が「mikoshi?」、「みんなが着ている…」には「happi coat?」と助け舟を出し、会話が弾みました。

法被を着た担ぎ手と神輿が進む夜の祭り
祭の風景 Photo by Kiya Golara on Unsplash

英語自体はボロボロでした。それでも、面接というより楽しいおしゃべりのような時間でした。「いつかご案内したいです」と笑顔で終えられたことが、合格につながったと思います。

合格してから

合格発表は2020年2月でした。当時の勤務先は副業禁止だったため、全国通訳案内士としてお金をいただく活動はできません。そこでまず、東京オリンピックのボランティアに応募しました。選考は通過したものの、コロナ禍で大会は無観客に。ゴミ拾いの募集もありましたが、参加はかないませんでした。訪日客もいなくなり、「いつかご案内したい」という願いは、しばらく実現しないままになりました。

次に、ガイド研修に参加することにしました。例えば、埼玉県おもてなし観光案内士の研修を複数回受けました。研修時の選考を経て、日本に住んでいらっしゃる外国の方々にさいたま市大宮盆栽美術館を案内するガイドをしました。外国の方々に大変喜んでいただきました。

さいたま市大宮盆栽美術館の英語ガイドブック「The Story of "Bonsai"」
さいたま市大宮盆栽美術館のパンフレット

その後、2023年3月に会社を辞め、6月からはインバウンド系のスタートアップに業務委託として参画しました。観光ガイドさんが回るプランの立案、そして記事を制作する仕事には、大きなやりがいを感じました。最初は翻訳や翻訳チェックだけだった担当範囲は、やがてウェブサイトの校正や写真選定、プランの詳細チェック、取材概要書のチェックにまで広がりました。試験勉強で身につけた日本の地理や歴史、文化の知識が、そのまま生き、200本以上の記事を公開することができました。プラン数・記事数と売り上げの増加に貢献できたのではないかと思っています。

やがて、自分の性格もあいまって頑張りすぎ、やりがい搾取や自分の限界を感じるようになって会社員へと転身しましたが、学んできたことは今にも生きています。

2025年、通訳案内研修を受けて

全国通訳案内士は、登録を続けるために定期的な通訳案内研修(法定研修)の受講が必要です。私は2025年1月に、登録研修機関のJapanWonderGuideのオンライン研修を受けました。動画で学び、修了試験に合格すると、研修機関から観光庁へ修了が報告される流れです。登録研修機関はいくつかありますので、予算やスケジュールに合わせてぜひ選んでみてください。

研修で学ぶのは、大きく2つです。

  • 旅程管理の基礎:旅行業のしくみ、通訳案内の仕事で守るべき法令、旅程管理の実務
  • 危機管理:災害が起きたときの行動、救急救命や医療対応の基礎、これからの通訳案内士像

合格から5年。よい復習になりました。たとえば、試験でもよく問われる「ガイドと運転の掛け持ち」。ガイドが自分の車でお客さまを有償で送迎するのは、いわゆる「白タク」にあたり、道路運送法で禁じられています。運転も含めて対価を得るには、第二種運転免許や事業の許可が必要です。こうしたルールを改めて確認できました。

もうひとつの大きな気づきは、博物館や学芸員とのつながりです。博物館の来館者にも、外国の方が増えています。外国人観光客向けの二重価格や、多言語での表示をどう考えるか。全国通訳案内士と学芸員、両方の立場から考えていかなければと振り返る、よい機会になりました。

全国通訳案内士から学芸員資格へ、そして今

振り返ると、全国通訳案内士の勉強は、文化への興味の引き出しを開ける第一歩だったのかもしれません。日本遺産の動画を見たり、歴史をゼロから学び直したりした経験が、自分の心に眠っていた博物館や文化への関心を育ててくれました。全国通訳案内士と学芸員は、「文化を相手に合わせて伝える」という点でも似ています。

留学経験もなく、ただひたすらに忙しい毎日の中でも、国家資格である全国通訳案内士に1年で合格できました。今、観光業界には関わっていないけれど、資格はキャリアを広げてくれました。

いくつになっても、どんな状況でも、学びは始められます。この記事が、全国通訳案内士や、何かに挑戦しようとしている方の背中をそっと押せたらうれしいです。

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