赤裸々に描いた英語コンプレックス克服体験記。公開するのは本当に勇気が必要でしたが、温かいお声をいただき感謝しています。今や英語コンプレックスは過去のものとなり、楽しく英語と付き合っています。
とはいっても順風満帆ではありません(苦笑)。そこで、コンプレックス克服の後に私自身が体験したことを現在進行形でつづります。どうぞ最後までご覧ください!

自分一人の世界から飛び出した
「英語ができるか」が話題にならない新鋭ぞろいの世界に飛び込む
英語コンプレックスで悩んでいたとき、いつも他人との比較におびえていました。しかし、フリーランスになって、これまであまり接点がなかった20代や30代の新鋭の方々との出会いにより、わたしは少しずつ少しずつ、考え方が変わっていきました。
2023年、英語と中国語を少しでも生かそうと、インバウンド事業を行っているスタートアップにフリーランスとしてジョインしました。上司はバリバリ帰国子女の30代の方。チームメンバーはアメリカ・イギリス留学、起業とキラキラした経歴をお持ちの20代の方。

自分より英語はできるんだろうな…英語について期待され過ぎたらどうしよう…という心配は、まったくの無用でした。わたしも含め、メンバーの誰が英語ができるかどうかということ自体、話題になりません。英語について突き抜けた方は、他人の実力についてどうこう言わないものです。
スタートアップは「何ができるか」だけが問われる世界。「英語は書く読むが中心で、話すことはそこまで実力がありません」と面談でお話ししたところ、まったく話す仕事は回ってきませんでした。成長の機会も与えられないと言えばその通りなのですが、わたしができる仕事として翻訳チェックの業務が回ってくるようになりました。毎月毎月4~5本、多いときは8本の翻訳チェック。フリーランスとしてこのような成長の機会をいただけるのは大変うれしいことでした。

「得意なことしかやらせてもらえない」と取るか、「得意なことを伸ばせる」と取るかはその人次第です。しかし、比較されず、自分の好きなことを中心にできるのは、ありがたかったです。
子どもたちとの時代の違いに目を覚ます
今どきの小中学生の英語教育は「四技能」(「聞く(リスニング)」「話す(スピーキング)」「読む(リーディング)」「書く(ライティング)」という4つの力)を伸ばすことが重要だとされています。
公立の小中学校でもこの影響を受け、わたしが小中学生だったころの英語の授業と内容が大きく変わっています。そもそも、わたしが小学生の時は英語の授業はありませんでした!
例えば、英語の本を読んで、自分の感想を発表する授業。子どもたちはてっきり日本語だけで話すと思っていたら、「英語がいいですか?日本語がいいですか?」と、聴衆に問いかけるところからスタートするのです。聴衆が「英語がいい」と答えると、何のためらいもなく、どの子も英語でプレゼンをするのです。

正直に言うと、英語がうまい子も下手な子もいます。流ちょうな子も、単語だけをつなぐ子もいます。でも、みんな一生懸命に英語を話している。
先生からの英語で質問が来ても、英語で堂々と返答するのです。困っている子がいたら英語ができる子が助け舟を出します。
授業参観で、今どきの子どもたちの姿に驚きと喜び、そして感慨が押し寄せてきました。自分と子どもたちが生きている世界は違う。だからこそ、自分は自分の世界でがんばろうと、前向きに思えた瞬間でした。
今どきの子どもたちの英語教育と自分が受けてきた英語教育の違い、そして時代の違いに気づいた瞬間、自分の中で何かが変わった気がします。
シニアさんの言葉「何を学ぶか」より「誰と学ぶか」
わたしは今、シニアさん向けに声出し教室を行っています。シニアさんは筋力の低下から食べ物を飲み込む力が落ちがち。そこで、声を出すことでお顔の筋肉を鍛えようという試みです。
声出し教室を始めると、参加者のお一人から「英語を発音しながら声出しをしたい」というリクエストがありました。「私は英語専門ではなく、本当は中国語が専門なのですよ」とお伝えしたのですが、「先生と一緒なら英語もやってみたい」と言われ、引っ込みがつかなくなりました。

これは、まごころ声出し教室は自分への挑戦でもありました。これまで学んできたYouTube、英語の教科書、多読法の本、アプリなどを活用しながら、シニアの皆さんと一緒に“英語を楽しむ教室”としました。
わたしが変わり始めると、シニアさんも変わり始めました。それまでモゴモゴと周りを気にしながら英語を発音していたのに、どんどんと声が大きくなりました。英語の教科書や短い絵本を紹介すると、シニアさんが「赤毛のアン(Anne of Green Gables)」の原作や「ピーターラビット」の原作に挑戦し始めました。
「日本語で何度も読んでいるからこそ、英語でも楽しめる。毎日3ページずつコツコツ読んでいるのよ」と原書を手にして笑顔で話されるシニアさん。そのほか、「ピーターラビットで、レタスが出てきたね」「自分は家庭菜園で野菜を育てていてね…」とご自身の生活の中に英語を取り入れ始めているシニアさん。毎回毎回、奇跡のようなことが起こっています。
気が付けばもう8か月目。最初は6か月で終える予定だったのに、「ぜひ続けたい!」と熱い声をいただき、毎月楽しく英語を学んでいます。
今やっていること
「できないからやらない」ではなく「今できることをやる」
異世代から刺激を受け、自分も英語を見つめ直すことにしました。英語の発音を一から習い直したり、自分が中学生のときに学んだ教科書を再び読んだり、ピーターラビットやパディントンの英語絵本に挑戦したり。ChatGPTを使って英会話の練習も始めました。
最初から完璧でなくてもいい。今の自分を否定せず、できることを一歩ずつやっていく。その積み重ねが、確実に自分の世界を広げてくれます。
英語は勉強じゃない、道具なのだ
かつては「英語=勉強」でした。でも、今は違います。英語は自分の知りたいことをもっと深く知るためのツール。たとえば、YouTubeで大英博物館(The British Museum)の動画を英語で見ると、日本語では紹介されていない視点がたくさん出てきます。中国語も同じ。言語を知ることで、世界が何倍にも広がるのを実感しています。
英語は自分を試す道具ではなく、誰かとつながる道具。英語で博物館の展示動画を見て、字幕を読んで理解する。いつかは博物館での英語解説を耳で理解し、自分でも説明ができるようになる。それが私の夢です。
言葉に正解はありません。どのように使うかは人それぞれです。
英語が通じないのは、自分のせいだけじゃない
ロンドンに旅行に行ったとき、郵便局で旧札を新札に換えようとしました。コンビニ併設の郵便局で何度聞き返しても相手の説明が分からず、落ち込みました。でも後になって気づいたのです。「相手のアクセントのせいだったかもしれない」と。
なぜなら、違う郵便局に行って同じことを伝えたら、すんなりスムーズにコミュニケーションできたからです。
今までは、通じなければすべて自分の英語のせいにしていたけれど、英語圏にもいろんな英語がある。なんでも自分のせいにするクセから、少しずつ抜け出せるようになりました。
自分が努力する姿を見せ合うということ
教室で英語をがんばっている姿を見せることで、「英語って楽しんでもいいんだ」と思ってもらえたら嬉しい。誰かの前向きな背中になることも、英語を学ぶ意味の一つかもしれません。
以前は「英語が苦手」「嫌い」と口にしていました。でも今は、子どもたちの前でも、シニアさんの前でも、新鋭さんたちの前でも、そう言うことはなくなりました。新しいことにチャレンジする姿勢を見せられるようになったのです。
努力する姿は決してかっこいいものではありません。チャレンジしても失敗ばかりです。でも、失敗から学べることもあるのです。
外国語学習の正解はありません。もちろん、近道はあるかもしれない。でも、その近道が自分に当てはまるかどうかなんて、やって見なければわからないのです。どのように学ぶかは、人それぞれなのです。
英語を通して、少しずつ広がった世界
英語を学んで、できるようになったこともあれば、まだまだできないこともあります。でも、「英語を通して、自分が変わった」と感じるのは確かです。
失敗しても、迷っても、それでも前を向きましょう。恥ずかしい思いをすることはあっても、そうそう命までは取られません。わたしなんて、さまざまなことに挑戦するようになってから、何度も失敗しています(笑)。
たとえ英語が苦手でも、やり直してもいい。今の自分を受け入れて、進んでいける。そんな気持ちになれた英語に感謝し、今日の自分を認めながら、進んでいきます。
