学芸員資格に興味はあるけれど、学費のほかにどんなお金がかかるのだろう? そう思っている方もいるのではないでしょうか。実際、私が学芸員資格を取るまでにかかった費用は約25万円でした。
この記事では、出願書類の印刷代から博物館見学の電車代まで、領収書や振込明細をもとに、できるだけ細かく書き出してみました。
期間は2025年6月の出願準備から、2026年10月に資格の手続きを終えるまでの約1年間です。これから学芸員を目指す方が、予算を考えるときの参考にしていただけたらうれしいです。
総額と内訳
いちばん大きいのはやはり学費で、全体の約7割でした。一方で、学費のほかにも合わせて7万4千円ほどかかっています。
| 区分 | 金額(円) |
|---|---|
| 入学・学費(選考料・学費・出願書類) | 185,530 |
| スクーリング(受講料・教材料・交通費) | 31,608 |
| 博物館見学(交通費) | 18,654 |
| 博物館見学(入館料・図録) | 8,150 |
| 資格取得後の手続き | 1,990 |
| 合計 | 245,932 |
※金額は私が2025年度に入学したときの実績です。学費は年度によって変わるため、最新の金額は各大学の公式サイトでご確認ください。
入学・学費:185,530円

学費は171,800円で、私の場合は3年次への編入学という形で入学しました。学費には、入学金・編入料・授業料・学修料が含まれます。うれしかったのは、授業料にテキスト代やレポートの添削料も入っていたこと。教科書を別に買う必要はありませんでした。
このほかに、出願時に選考料が10,990円(ネット出願のサービス利用料を含む)、証明書や印刷・郵送など書類の準備で2,740円かかりました。
| 項目 | 金額(円) |
|---|---|
| 学費 | 171,800 |
| 選考料 | 10,990 |
| 郵送費など | 1,060 |
| 証明書取得費 | 1,680 |
| 合計 | 185,530 |
スクーリング:31,608円
博物館実習のスクーリングは6日間で、受講料と教材料で合わせて21,000円でした。学費とは別に、受講の手続きのときに支払いました。※最新の状況と変わっている可能性があります。
| 項目 | 金額(円) |
|---|---|
| 受講料(8,500円×2単位) | 17,000 |
| 博物館実習教材料 | 4,000 |
| 交通費(片道884円×往復×6日) | 10,608 |
| 宿泊費 | 0 |
| 合計 | 31,608 |
学校選びでは「通えるか」も大事
私は自宅から毎日日帰りで通いました。交通費はかかり、少ししんどかったですが、宿泊費は0円でした。もし遠方から参加してホテルに5泊していたら、交通費数万円が上乗せされていたと思います。
なお、食事代は合計に入れていません。スクーリングの期間は学校の食堂が休みだったため、お昼は最寄り駅のコンビニで買っていました。振り返ると、家から何か持って行けばもう少し安く済んだと思います。これから参加する方は、食事のことも事前に考えておくと安心です。
通信制の大学を選ぶときは、学費だけでなくスクーリングについて確かめておくと、全体の費用が見通しやすくなるかもしれません。
- スクーリングの会場はどこか。自宅から日帰りで通えるか
- スクーリングは何日間か。連続で休みを取れるか
- 宿泊が必要なら、会場の近くに手頃な宿があるか
大学ごとに費用やスクーリングの日数などを比べられるチェックリストを作りました。無料でダウンロードできますので、学校選びの参考にどうぞ。
博物館見学:26,804円
博物館実習の課題のために、約10か月で36館を見学しました。このうち旅行先で立ち寄った博物館は除き、自宅から見学目的で訪れた博物館のべ25館にかかった費用を計算したところ、交通費は18,654円、入館料や図録で8,150円(入館料は7,550円、レポートのために買った図録が1冊600円)でした。半分くらいは自転車で行ったため交通費はかかりませんでした。電車で都内に出るときは、上野で東京都美術館と東京国立博物館を同じ日に回るなど、まとめて見学するように工夫しました。
| 項目 | 金額(円) |
|---|---|
| 交通費 | 18,654 |
| 入館料・図録 | 8,150 |
| 合計 | 26,804 |

また、入館料無料の博物館もありました。入館料が無料というのは、もともと入館無料の施設、招待券、そして次に紹介する学生ならではの制度のおかげです。
学生のうちに使いたい「キャンパスメンバーズ」と学生料金
通信制でも正科生には学生証が発行されます。学生証を持っていると年齢にかかわらず入館料が大学生料金となる博物館があり、費用を抑えることができました。
例えば、大学生が無料になる美術館もあります。アーティゾン美術館の「クロード・モネ —風景への問いかけ」展は、一般2,100円(ウェブ予約)でしたが、学生はウェブ予約をして学生証を見せれば無料でした。
学生料金適用に年齢規定がある博物館もあります。ご注意いただけたらと思います。

もう一つ紹介したい制度が「キャンパスメンバーズ」です。これはキャンパスメンバーズに加盟している大学の学生が、国立美術館などで割引や無料になる制度です。ご自身の通われている大学・通おうと思っている大学がキャンパスメンバーズに該当するか、確認されることをおすすめします。
大学生に関する割引は在学中にしか使えない制度なので、見たい博物館や展覧会は学生のうちに回っておくのがおすすめです。
ちなみに山種美術館は、全国通訳案内士の資格を保有していると無料となります。ご自身の資格で使える割引、クーポンサイト、前売り券の有無も、一度調べてみるとよいかもしれません。
【キャンパスメンバーズ割引の例】
| 施設 | 払った金額 | 備考 |
|---|---|---|
| 国立西洋美術館(常設展) | 0円 | キャンパスメンバーズで無料 |
| 東京国立近代美術館 | 600円 | 大学生800円が割引に |
| 国立新美術館 | 800円 | キャンパスメンバーズの割引 |
私の節約のポイント
- 参考書は図書館で借りる
- レポートに必要な参考書は、買わずに図書館で借りました。博物館学の専門書は一冊数千円するものも多く、全部買っていたらかなりの出費になっていたと思います。近くの図書館にない本は、県内の図書館同士で本を貸し借りする「相互貸し出し(埼玉県立図書館相互貸借)」を使いました。いつもの図書館の窓口で頼むと、他の図書館から取り寄せてもらえます。専門書を探すときにとても心強い仕組みです。
- 国会図書館は無料で使用でき、国内で出版された本が集められています。
- 東京都北区の図書館は在住者でなくても図書カードを作成することが可能です。お住まいの市区町村近隣の図書館が利用できないか調べてみるのも一つの手です。
- 論文は無料の検索サービスで探す
- レポートの資料は、本だけでなく論文検索も使って集めました。インターネットで無料で読める論文もあります。私が使ったのは、CiNii(サイニィ)、J-STAGE(ジェイステージ)、Google Scholarです。また、國學院大學のように、大学のホームページで紀要や論文を公開しているところもあります。私は理系出身で、メーカー勤務時代は科学論文のデータベースを作成・管理する仕事をしていました。人文系の論文をじっくり読むのは今回が初めてで、どれも新鮮で面白く読みました。
- 勉強は自宅のパソコンで
- カフェや図書館で勉強する人もいると聞いていましたが、私はすべて自宅で済ませました。
- 見学は自転車とまとめ回り
- 上述のように近くの博物館には自転車で行き、都内は同じ日に複数館を回りました。
- 旅行には必ず博物館・美術館を入れる
- 旅行に出かけるときは、必ずルートに博物館や美術館を組み込みました。こうすれば、地方の博物館も見学先に加えられます。
- 学生証を有効活用する
- キャンパスメンバーズや学生無料の展覧会を優先して見学しました。

いちばん大きい節約は「1年で修了したこと」
通信制では、在籍している限り毎年学費がかかります。私は1年間で必要な単位を取り終えて修了し、退学したので、2年目の学費はかかりませんでした。振り返ると、1年で終えられたことが、費用の面ではいちばん大きかったと感じています。
まとめ:費用を左右するのは「住んでいる場所」と「通い方」
学芸員資格の取得にかかった費用は、約25万円でした。学費は大学の募集要項でほぼ決まりますが、残りの金額は個人やそのときの状況によって大きく変わります。
- スクーリングに日帰りで通えるか、泊まりになるか
- 参考書を買うか、図書館や無料の論文で済ませるか
- 見学に行ける博物館が、家の近くにどれだけあるか
- 学生証やキャンパスメンバーズを使い倒せるか
これから学芸員を目指す方は、学費に「スクーリング」と「見学」の費用を足して、予算を考えてみてくださいね。
この記事の内訳に沿って、ご自身の金額を書き込める「予算見積もりシート」を作りました。以下から無料ダウンロードできますので、よかったらお使いください。
【予算見積もりシートをダウンロード(PDF)】

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