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散らかっていた自己紹介が、ようやく線になってきた話ー認知症を学び、見えてきたこと

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認知症について学び始めて2年が経ちました。
「どうしてボランティアなのにそこまでやっているの?」そう聞かれるたびに、少し切なくなっていました。

軽度認知症(MCI)のシニアさんのお宅にお伺いし、毎日買ってこられる肉まんをどうリメイクするか考えていた日々。認知症に関する公開講座にシニアさんに混ざって参加した日々。「認知症」というキーワードでヒットした本をひたすら読み続けた日々。そして、キャラバン・メイト養成講座に参加。

自分は何をしているんだろう。どうしてここにいるんだろう。

今はそんな迷いのトンネルから抜け、認知症サポーター養成講座開催に向けて進んでいます。

目次

散らかっていた自己紹介

今年、新しい職場で働き始め、自己紹介をする機会が増えました。(新しい職場で働き始めた経緯はこちらから)

兵庫県出身
乳製品メーカーの研究開発職
スタートアップの英文インバウンド記事制作
博物館学芸員を目指す社会人大学生
博物館協議会公募委員
認知症キャラバン・メイト
シニア生活サポート

項目を絞って話しても、かいつまんで話しても、自分が何をしてきたのか、どんな人なのかうまくまとまりません。自分が理解できていないことが、人に伝わるはずがありません。

周りには、留学経験、バックパッカー、インフルエンサーなど、人に伝わりやすいエピソードを話す人たち。

全部バラバラ。
どれも中途半端。

そんな想いを抱えたままひたすら繰り返した自己紹介。100回を超えたあたりから、やがて一つのキーワードが浮かび上がってきました。それは「認知症」です。

なぜここにいるのかを見つめ直す

認知症に興味を持ったのは、軽度認知症(MCI)のシニアさんの生活サポートをしたことがきっかけでした。駅すぐのタワーマンションの上層階。富士山の見える素晴らしい景色に豪華なインテリア。幸せそうにほほ笑むご家族の写真が所狭しと飾られていました。冷蔵庫にはびっしりと海外製のマグネットが貼られていました。

シニアさんの3人のお子さまは海外など遠方にお住まいとのこと。軽度認知症の症状が出てきているため1週間に1回、60分、生活のサポートをお願いしたいとのことでした。リーダーとスタッフ2名でのサポートが始まりました。

シニアさんの冷蔵庫は牛乳と肉まんでいっぱい。中には賞味期限が大幅に切れているものもありました。炊飯器の中には固くなったご飯がそのままに。電子レンジの中にはいつ温めたか分からないカップ蕎麦がありました。台所の戸棚を開けると、2000年代のふりかけやお米、粉類が保管されていました。

お子さまのご要望は「サポート費用以外の費用はできる限りかけないよう」にとのご要望だったため、まだ食べられそうなご飯はおにぎりにしました。賞味期限がまだ大丈夫そうな肉まんは冷凍し、賞味期限ぎりぎりのものはカリカリに焼いたりスープに入れたりして工夫しました。

肉まんをカリカリに焼いたりスープに入れたり、残りご飯は一口おにぎりに

ある日、お伺いしたらメロンパンが山ほどありました。賞味期限OKなものは小さく切って冷凍庫へ。賞味期限ぎりぎりのメロンパンを切ってデザートに出したら「おいしいわね」と言ってくださいました。そこで、甘いものがお好きなことが分かったため、時には冷蔵庫の中野チョコレートも出しました。コーヒーがお好きなので、必ずコーヒーを付けました。

甘党なシニアさん。賞味期限切れのお弁当よりチョコレートをお召し上がりに

サポートが始まった当初は「○○しましょうか?」と申し出ても「自分でできるからいいのよ」と言っていたシニアさん。訪問を重ねるたびに「これもお願いしてよいかしら?」と言ってくださるようになりました。チョコレートをお出ししたときには「あなたもおひとつどうぞ」と言ってくださることもあり、サポートのやりがいを感じ始めていました。

しかし、わたしのサポートは突然終了となりました。シニアさんのお家に設置された見守りカメラの映像を、ご家族が細かく確認され、わたしの支援は不要だと判断されたためです。少しずつ築けていたと信じていた関係性があっけなく途切れてしまいました。自分は何のためにそこにいたのか、という想いが募ってきました。

もう見ることはない夕暮れ

ほどなくしてシニアさんは施設に入り、生活サポートそのものが終了しました。その後、風の便りでそのシニアさんは施設で認知症がかなり進み、誰が誰だかわからないようになったと聞きました。

認知症本人はどこにいるのか

シニアさんは3人のお子さまのうち、よく息子さんのお話をされました。毎回、出身校や企業名は変わってしまうのですが、有名大学を卒業し、大企業に就職し、現在は独立して事業をされている、といった大筋でした。きっとご自慢の息子さんなのでしょう。息子さんとお電話しているとき、シニアさんは本当に幸せそうな笑顔を浮かべていました。

そんなシニアさんが施設入居に至ったのは、きっとご家族の事情もあることでしょう。遠方に住んでいたり、お仕事がお忙しかったりで、限られた情報の中で最善を考えた結果だったのだと思います。生活サポートをしていただけでは、ご本人がご納得の上で施設に移られたかどうかなんて知ることはできません。

でも、何か心にひっかかるものがありました。認知症って、なってしまったらもう人生終わりなんだろうか、と。認知症についてもっと知りたいと思いました。

まずは認知症サポーター養成講座に参加、その後、認知症カフェでさいたま市認知症大使とお話しました。認知症カフェや公開講座にも行きました。みなさん、自然体でした。

認知症サポーター養成講座受講時のノート

その後、自分が「認知症」について学んできたことを話すようになると、自然と認知症に関するご事業をされている方とお話する機会が増えました。

たとえば、認知症にならないようにするためのトレーニング。認知症による資産凍結の対応としての家族信託。家族が困らないための仕組みづくり。

どれも大切で、必要なことです。

さて、認知症になった本人は、どこにいるのでしょうか。認知症になった後、本人がどう生きたいのか、何に困り、どんな日常を送りたいのかは、意外と語られないことが多いように感じました。

小さな一歩を形にする

私は、認知症を社会の「問題」としてだけではなく、その人自身や社会に対する視点を広げる「機会」と思っています。今や、65歳以上の8人に1人が認知症と言われる時代。超高齢化社会を考えると、これからは街で認知症の方に出会う確率も高まっていくでしょう。

まずは正しく理解する。そして、自分が得た知識を伝えていく。その小さな第一歩として、2026年6月27日に認知症サポーター養成講座を開催します。

認知症を特別なものとして遠ざけるのではなく身近な暮らしの延長線上で理解するきっかけをつくれたらと思っています。学びたいと思っている方にとって、安心して参加できる場を目指します。

ポスターも全部自分で作成。できるところまでやってみる 参加申し込みはこちらからhttps://forms.gle/BCLst1CwzkbyWBhT9

点と点が線になる

研究。発信。学び。地域活動。一見、ばらばらだった活動ですが、最近ようやくわかってきました。全部、「人がその人らしく生き続けるための支えをつくること」につながっている。そして、自分が自分らしく生き続けるため、わたしは学び続けるのです。散らかっていた自己紹介が、ようやく少しずつ線になってきたのかもしれません。

いつか空にはためく日を目指して

一つひとつの点。
集めたけれどまだ細くて頼りない。
なんとかつないだ線は
ある日突然、切れてしまうかもしれません。

それでも、
たぐりよせて、撚って、集めて。

少しずつ太くなり、
やがて線は面になる。

そしていつか、風を受けて、空に広がるように。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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